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2枚にわたる手紙を読み終える。丸みを帯びた文字も、一心不乱に書き続けた証拠のように全体的に歪んでいた。
「7月7日…ねぇ」
手紙を左手に預けて、右手で天気周期表を探る。それは机の上で、雨の種をかぶっていた。
周期表を確認すると、確かに7日は雨とされていた。それも一日降りっぱなしの大雨で、外に出るのは無謀に思えた。
…。
アルノメテリは下界の天気操作も忘れて、暫し考え込んだ。
出来れば彼女の願いを叶えてあげたい。大切な人との時間がどれだけ愛しいか痛いほどよく分かる。でも、天気周期表を無視するのは違反だ。どんな罰が待っているか分からない。それに、その罰を受けるのはアルノメテリ一人ではない。イルビニーシャも道連れだ。だからといって、司令本部へ晴れにしろと訴えても、曖昧に返事が返ってくるだけだろう。
…
「ふぅ」
考える、暇はない。どちらにしろ、7月7日は数日後だ。覚悟を決めるしかない。
アルノメテリはぎゅっと瞳を瞑った。まさか、11歳でこんな息苦しい決断をしなければならないなんて。
「ごめん…」
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