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若さと女性性が搾取されるこの世界
学校から一番近い書店は店長さんが代わってしまったらしい。
近所の野良猫に餌をやって、野良ちゃんだけどうちの看板なんだと呉服屋さんのおばさんに話していたおじいさんは見かけなくなってしまった。
今のこの店は、入ってすぐの所に18禁コーナーがある。昔ではありえなかったことだ。あのおじいさんは学生に配慮して、店の奥まで入らないと目に入らないようにしていた。
VRで観れるDVDが付録の、この雑誌が売れ筋なのだろうか。
LJK
高校三年生の女のことを指す言葉だ。
好きな場所が好きではなくなってくる。
少し黴びているような本の匂いが好きなのだ。どこに消えてしまったんだろう。
私もセーラー服を着ているだけで、性的に搾取されるのだろうか。
そして、その不安は自信過剰と嘲られたりもする。
嫌だな・・・
急にスローモーションになった。
音も光ですらもゆっくりになっていく。
目の前を軽トラックが迫ってくる。
観たことはないけれど、
僕は死にません!
そんなラブストーリーのドラマが昔流行っていたはずだ。
体が動かない。
運転席には、たわわな胸が露わになった表紙を脇見しながら、鼻の下を伸ばした男が乗っていた。
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