美和

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美和

美和(みわ)さん!」 遠くで誰かが叫んでいる。 トラックに轢かれて引き摺られた気がしたけれど、これで意識があるなんて不思議だ。 「美和(みわ)さん!聞こえていますか!」 ゆっくり目を開けると、知らない男の人がこちらを覗き込んでいる。 「分かりますか?アシスタントの関口(せきぐち)です」 体の痛みもなくすらすらと口が動いた。 「わかりません」 「えー!!関口ですよーっ!?」 他にも大勢の人がいるのかたくさんの笑い声が部屋に響いている。 ここはどこだろうか。 上半身を起こすと、部屋には大勢の人がいて、部屋の壁面は一面窓ガラスでできている。外は真っ暗である。 思わず駆け寄ると、ビル群から漏れ出る光が煌めいて美しかった。 「美和さん、気を失った直後に走るななんて危ないですよ」 先ほどの関口さんが慌てて走ってきて横に並んだ。窓ガラスに反射した自分に初めて気がついた。 「え!?私、裸!??」 「一応バスローブを着させていただいたんですけど、まずかったですか」 確かに、下着も何も身につけていない体の上から、テレビでしか観たことがないような高級そうな布を纏ってはいる。 しかも、と呼ばれている。 私の名前をなぜこの人が知っているんだろう。 そもそも私は、何をしてここにいるんだろう。 必死に思い出そうとしていると、股の間に感じたことのない違和感を覚えた。 「湿ってる?」 「すみません。さすがに体の表面は軽く蒸しタオルで拭かせていただいたんですが、場所が場所だったんで」 その場所に力を込めると、急にお臍の下辺りが体の奥で震えた。 「いやっ、なにこれ」 思わず膝から崩れ落ちた。 これは私の体なのだろうか。
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