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第三章 初デート!?
「おい、咲。どうしたんだよ? 何でそんなに怒ってんだ?」
彼の家を出て、終始無言でブスっと歩く私に、新宮くんは尋ねた。
「はぁ? 分からない? あんなの、私、どうしたらいいのよ!」
私は振り返って苛立ちをぶつけた。
あんたがどんなにカッコよくても、こればっかりは許してやらないから!
そんな想いを込めていた。
でも……
「そうか。咲、スマン。でも……」
新宮くんは切れ長の目をさらに細め、すまなさそうな顔をした。
「パトリツィア・ランドさぁ、父さんが言うように、本当に行き詰まっててヤバいんだ。だから、どうか、手を貸して欲しい。だって、俺……できそうな気がするんだ。咲と一緒なら、何だって」
「えっ……」
彼の言葉に私の胸はトクンと鳴った。
「他の奴じゃ……お前じゃなきゃ、ダメなんだ。どうしても。だから、頼む。この通り」
「はい……」
素直に頭を下げる彼に、つい、返事をしてしまった。
だって、そんな新宮くんもカッコよくて、胸がドキドキして……
急にこんなに素直に真剣になるなんて、ズルいよ。
そんなことを思ってしまった。
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