ただ好きなだけ

いいよ

お前がおれを好きだと言うことは
知っている　
おれを追う視線
必死に訴えかける表情
でもおれは何も言わない
お前が動くまでは
今日もまたおれを見つめる
「ねぇ」
問いかけたおれに
嬉しさを隠せないみたいだね
「おれのこと好きでしょ？」
おれを見ていた瞳が泳ぐ
「いいよ　キスくらいなら」
ちょっとした気まぐれ
でも　おまえからはあふれでる思い
「ほら」
そう言って近づけた唇を
おまえは愛おしそうにそっと指でなぞる
「早くして」
そういうおれに慌てて唇を重ねる
たったそれだけ
でもおまえはうつむいて微笑んでいる
「ありがとうございます」
堕ちたのはどっち？