らしくない

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らしくない

君は人にあまえたり、 わがまま言ったりが、 とても上手だ。  感情もまっすぐぶつけてくるから、 もちろん告白も君から。 うまく感情を出せない俺は、 君にはしぶしぶ付き合ったように映っているかな? 「付き合ってくれてありがとう」 君らしくない、弱気な発言をさせてしまう。 イチャイチャするってどうしたらいいの? 好きすぎてはちきれそうな気持ちは、 どう表したらいいの? 周りの恋人たちを見て真似しようとしても、 がらじゃない、と自分に言い訳をする。 君から組まれた腕も、 君がしてくる膝枕も、 すり寄ってくるその仕草も、 全部嬉しすぎるのに、君に伝わらない。 「嫌ならいってね」 裏表のない君は、人の裏を読むのも苦手だから、 「嫌がらなければ、やめないよ」 と俺にくっついている。 休日の午後。 暖かさに、横でテレビを見ていた君は、 睡魔に身を任せる。 好きだよ、 大好き…。 なんだか笑ってるように見える君の寝顔に、 溢れだす気持ちを、 君を閉じ込めるようにキスをして抱きしめた。 らしくない…。 けど、充たされる。
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