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どうしてバレたんだろう。そんなに態度に出ていただろうか。
思うことっていうか、加持に対して不満があるわけではない。
ただ、別に自分から言わなくてもいいかなって黙っていただけで。
「……」
「まぁいいや」
そして加持は、思わず口を噤んだ私を見て、またゆるりと口角を上げるだけで、根掘り葉掘り聞いてくることもない。
それに若干の罪悪感を感じたけれど、それでも自分から行動を起こす気にはなれなかった。
「……あの、紘輝」
「てかさ」
「え、あ、はい」
少し空気が重くなった気がして、誤魔化すように声を掛ければ、それとほぼ同時に口を開いた加持に遮られる。
慌てて返事をした私の髪に、加持の手が優しく触れた。
「なんで今日ここに来たと思う?」
ぽんぽんと頭を撫でながら、空気が重くなるどころか楽しそうに私を見下ろす加持。
この男、たまに何を考えているのか分からない時がある。
「……思い出の場所だから?」
「ううん、ゆっくりお前のおっぱい見たかったから」
「ふざけてんの?」
「おもろ」
私は全然面白くないんですけど。
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