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あれから2年。
無事に二人目を授かり、出産を終え、陽夕は3歳、陽里は1歳になった。
そして今日は、結婚4周年記念日。
昨年の記念日は、陽里が産まれてすぐということもあって家でのんびり過ごしたけれど。
今回は2周年記念の時と同様、子供達を保育園に預けて、久しぶりにふたりでデートをしている。
「紘輝」
「ん?」
午前中に映画を見て、オシャレなカフェでランチをして。
このまま家に帰ると思ってた。
「またここに来るとは思わなかったよ」
「なんで?毎年ここでお祝いするって約束しただろ」
「約束はしてない」
私達が足を止めたのは、あのホテルの前。
「入るよな?」
聞いてくる割には、逃がすまいと私の手を握る加持の視線は、パイパイアモーレに向いていた。
ちなみに陽里が卒乳してからも、加持はまだ私の胸には触れていない。
どうやら今日が解禁日らしい。
「今日という日をどれだけ楽しみにしていたか」
「真顔で言わないで」
何年経っても、こういうのは慣れない。
恥ずかしくて逃げ出したくなる。
けれど私の手は、おっぱい星人に強く握られていて、逃げられる気配はない。
だから仕方なく、その手を握り返した。
「ひいろ」
名前を呼ばれ、視線を向ければ、優しく目を細める加持と目が合う。
歳を重ねても、相変わらずこの男の顔は整っていた。
「おっぱい触らせて」
恐らく、加持紘輝という男は一生変わらないと思う。
ゆるく口角を上げた加持に「バカ」と返せば、くすくすと笑いながら手を引き歩き出す彼の後ろに慌てて続いた。
「今日ずっとおっぱいのことしか考えてなかったでしょ。映画の内容覚えてる?」
「失礼な奴だな。俺のこと何だと思ってんの?」
「おっぱい星人」
「正解」
fin.
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