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番外編 バレンタイン
「紘輝、起きて」
2月14日。
私が子供達をお風呂に入れている間にソファで力尽きていた、無駄に顔だけ整った男の身体をゆする。
「…いい眺め」
「バカ」
薄らと目を開けた男は、私の身体のある部分を見て、ぽつりと呟いた。この男、2児の父になった今でも、変わらずおっぱいを愛している。
「悪い、寝てた」
「いいよ。今日はふたりとも比較的いい子だったから」
パジャマに着替えた子供達が、絵本を広げている姿を横目で確認する。まだ1歳の陽里は、絵本を読むというよりは、ページを捲って遊んでいる感じだけど。
「てことで、はいどーぞ」
むくりと上体を起こした紘輝に、可愛くラッピングされた箱を渡した。それを受け取った彼は「もしかして手作り?」と口角を上げる。
「もちろん。陽里と作ってみました」
「最高」
ラッピングのリボンを解き、早速箱を開けた紘輝は「やば」と一言零す。
「板チョコを溶かしてカップに入れて、上から色々トッピングしただけの簡単なやつだけど。陽里と出来るのは、これくらいしかないかなーって」
「…娘からのチョコ…」
くそ可愛い。そう呟いた紘輝は、チョコをひとつ取り出すと、ぱくりと口に放り込む。モグモグと頬張りながら「うめー」と放った彼は、感動からか天を仰いだ。
「美味しい?」
「美味しいを通り越してしんどい。おっぱいくらい好き」
「そこはおっぱいより好きになりなさいよ」
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