ランジェリーナ

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私の住むアパートはセキュリティがゆるゆるの格安アパート。 よくアパートの一階は下着泥棒に気をつけろなんて聞くから、普段は外に出したりしないんだけど。 でもさすがに部屋にいる時に盗られるなんて思わないし、ましてや私の下着を盗むくらいなら他の人のを盗むと思うし。 それにせっかくの快晴。たまには外で干したい。 なんて、軽率な考えがいけなかったらしい。 目的のテレビ番組が始まるまであと30分。 先に洗濯物を取り込んでおくか、と重い腰を上げる。 ガラリと窓を開けて、真っ先に確認したのは下着を干している一角。 そこにあるべきものは─────無かった。 「…まじか」 思わず独り言が零れるくらいには驚いた。 まさか本当に下着が無くなるなんて思ってもみなかったし。 もしかすると下に落ちているのかもと視線を落としてみるけど、そこにあるのは百均で買ったサンダルだけ。 自分が下着泥棒の被害にあう日がくるなんて。 ていうか、アレお気に入りの下着だったのに。 花柄で可愛くて、お値段は可愛くないけどきちんと補正もしてくれるいい下着だったのに。 ──────金返せ泥棒。 考えれば考えるほど段々と怒りがこみ上げてくる。 まだ近くにいるのならば、とっ捕まえて一発ぶん殴ってやんだから。と、窓を閉めようとしたその時 「あれ?」 聞き覚えのない声に、弾かれたように顔を上げれば、何故かバルコニーの柵を越えたすぐそこに立っていた見知らぬ顔の男と視線が重なった。
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