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「……ホテルでよくないですか?」
「お前さっきから何なの」
てっきり車の中でするのかと思ったけれど、そうではないらしい。
亮さんは運転席のドアを開けて先に出てしまった。
私も慌てて外に出て、亮さんのそばまで駆け寄る。
「足元気を付けて」
真っ暗闇の中、亮さんは私の手を握って茂みの方へ歩き出した。
その仕草にまたもやきゅんとしてしまう。
亮さんのこういうところが私を勘違いさせる。
散々騙されてきたのに素直に喜んでしまう私は本当にバカだ。
亮さんはイケメンだけじゃなくて女を喜ばせる方法を知っている。もしかすると井上さんを超えるチャラ男なのかもしれないと最近思い始めたけれど、もうここまで来たらチャラ男でも詐欺師でも何でもいい。
今日で最後なわけだし思いっきり甘えてやろうと、亮さんの手をきゅっと握り返した。
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