合鍵

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「来るなら連絡くらいしろよ」 「ご、ごめんなさい…ビックリさせたくて……って、そうじゃなくて!」 話が脱線してしまった。 私が言いたいのはそんなことじゃなくて。 「何で奈緒さんは亮さんの部屋にひとりでいたんですか?」 「それは、奈緒が昼間に突然来て……」 「突然…?」 「もちろん俺は仕事してたから、携帯なんか持ってなくて。そしたら店に電話がかかってきて、いま俺の部屋の前で俺の帰りを待ってるって言うから急いで一旦帰って鍵だけ開けて、俺はまた仕事に戻ったんだよ。 その間にお前が来たんだろうな…」 「部屋に上げなくても、お店に来てもらえばよかったじゃないですか…」 「俺だってそう言ったけど、ここで待つって聞かないから」 あの女、なんて図々しいんだ。 「てか何で亮さんの部屋知ってたんですか?前にも上げたことあるんですか?」 「ないよ。俺の親に住所聞いたんじゃない?」 亮さんの…親…? そこと繋がっていることがめちゃくちゃ悔しい。 いや、いまそんなこと言ってる場合じゃないんだけれど…。
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