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「…お店?」
「うん。俺の実家、居酒屋なんだ。個人でしてる小さい店。いつかあの店をカフェにするのが夢でさ、親が店を辞めるまで色々勉強しようと思ってたとこに健二に誘われて、こっちに来たんだ」
「亮さんの夢…」
まさか亮さんに夢があるなんて思わなかった。
こんなに全てが完璧で、何でもすぐに手に入れられてしまいそうなのに
きちんと努力して形にしようとする彼はやっぱり凄い。
「ほんとはもっとこっちで力付けてから帰りたかったんだけど、親父がぶっ倒れて入院したらしくて…」
「え?!大丈夫なんですか?!」
「まぁなんとか。母親が付きっきりで看病してるって。それ聞いたら、俺が帰ってあの店守らないとって思ってさ…」
「そうですよね。ご両親のことも心配ですしね」
手をきゅっと強く握れば、亮さんは空いた方の手で私の頭をぽんぽんと撫でる。
「ちょっと早くなったけど、元々地元には帰る予定だった。だから今は彼女作らないって言ったのも、こっちで作る気はないって意味だったんだよ」
──あぁ、だからgreen Cafeは緑川さんの名前しか入ってなかったんだ。
「今日だってほんとは…お前とも最後にするつもりで会いに来た」
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