合鍵

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「なのにお前、痩せてるわ泣き出すわで……」 頭を撫でていた手がするりと私の頬まで落ちてくる。 「ごめんなさい…」 「いや、元はと言えば俺が彼女作らないとか変な意地張ってたからいけなかったんだよ。なのにお前と一緒にいたいから思わせぶりなことばっかり…ごめんな」 私の頬を撫でる彼の指先は優しくて、眉を下げて私を見据える表情はとても艶やかだ。 まさか亮さんがそんなことを思ってくれていたなんて知らなかった。 「ほんとですよ…。私2回も振られたんですよ」 「ははっ…ごめんごめん」 ムッと睨み上げれば、目尻を下げて笑う亮さん。 反則だ。その笑顔には勝てない。 「わ、笑い事じゃないですよ!めちゃくちゃ傷付いたんですから」 悔しくて俯こうとすると、添えられている手で強制的に顔を上げられた。
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