プロローグ

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プロローグ

 人生は大きな鎖のようなものであるから、その本質を知ろうとするには、鎖の一部分さえ知ればいいのである。   Byシャーロックホームズ  始めて俺は自分の推理で事件を解決したような有頂天になっていたのか、そのあと、すべてが終わっていないもどかしさにさいなまれながらも、彼ら、田神さんたちとは距離を置こうとして、俺は電話が来ても断っていた。  日向先輩はどうかわからないけどね。彼は俺とは比べ物にならないシャーロキアンだから、興味があれば食いつくだろうしな、なんて。  お、そうだ自己紹介。  俺、山岸一馬(やまぎしかずま)、東京のとある町の公立高校二年生。 ひょんなことから、警察に目を付けられ、俺は田神警視に追いかけられ、そしてある事件に巻き込まれることになった。 同級生の中村雄一(なかむらゆういち)、遠藤(えんどう)はるみ、真壁仙太郎(まかべせんたろう)を引きずり込み、シャーロキアンである一年先輩の日向(ひゅうが)智明(ともあき)をも巻き込んで、なんとか事件を解決した。 俺たちはBaker Street Irregulars、少年探偵団として田神さんにいいように使われてしまったというところだ。  しばらく音沙汰がなく、俺は普通の高校生に戻っていた。  十一月、期末テストまで二週間、赤点さえとらないでいればなんて言えなくなってきた。 「本腰入れねえとなー、どこにしようかな?」 大学も頭に入れてはいたが、ケガで足が動かなくなると、バスケットバカだった俺はスコンと進学の事を忘れていた一学期まで、それでもまあ二百五十人いる真ん中にはいるんだけど、就職もなー。大学行けんのか?はーア、どうすっかなー。  いつもあいている図書館の扉が閉まっていた。  休み?  手を開けると開いた。 「は?」  人の無言のざわめき、ものすごい人なのにささやくような声と服のすれる音で部屋がいっぱいで、足が止まった。 「先輩、遅すぎ―、アウト」 「なんだ?これ?」 「一年です、みんな期末の勉強」  噓、なんだよこれ?部屋にはびっしり生徒がいた。何でも授業でなぞなぞみたいのを出されたらしい、それを必死で探しているのだそうだ。それでもこんな数見たことないし。 「いつもの席空いてませんよ」 あっそ、関係ないし、でもなー。 「ねえ、ねえ、深山ちゃんさー」 「ダメです、今日はダメ、準備室貸しません」 「なんで?」 「先輩からです、一人に貸せば次々貸せと言われる、いやなら図書部に入れだそうです」 チッ、はるみの奴、ハイハイ、わかりましたよ帰るか?図書室を後に歩き出した。 さてどうするか? とにかく、こんな日はたまには早く帰るかと、タイミングよく来たバスに乗り込んだ。
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