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ストーリー1
しばらくぼーっとバスに揺られ、窓の外を見ていた。
俺たちはノートを取らない、スマホで黒板を取ればいいだけだし、ただ担任のダブリン村田は国語の教師で、日本人なら文字を書けと、スマホの利用はできないんだけどさ。さっきの図書室の一年は何かかき出してたな?
まだ早い時間、小学生たちの集団下校をバスの中から見ていた、そうだ。
卒業した小学校のそばでバスを降りた。
「確かこっちだったよな」
懐かしい道を歩く、大学が多いこの地域、一度だけ行った大きな図書館を思い出したんだ。
あの時はまだちびだったからなものすごく遠く感じたんだよな。
「あった、都立図書館か、知らなんだ、よかったそんな遠くなくて」
近代的な造り、中を見ると立て直したばかりのことが書かれていた、だから来なくなったのか、なんて、そのきれいな施設を見て回った。
「ラッキー、飲食ができる」
喫茶店のようなところ、入り口の黒板にはいろんなメニューが書かれている。スゲ安くね?結構人がいるのが陰でわかる、ガラスケースの中には作り物のスパゲッティやパンたちがきれいに飾られている、へー?本を借りてきて読んでいいのか、それじゃあ何か借りてこようとそこを後にして、中へ入った。
時間は三時半、ゆっくりできるな。
すごい蔵書、さすがだななんて思いながら、一般、あの本をかりに行こうとしていた。
棚の横に検索できますと機械がはめ込んである。
「へー、デジタルね、コナンドイルと」
すると、どこの棚のどこ行けば何があるというのが出てくるんだ。これはいい。
俺のわきを子供たちが走っていく方に目が行った。
何かな?
すっとその子たちの後を追うように足が伸びた。
大勢の子供たちがその場に座ってみている。
「すげ、漫画かよ」
ついつい声が出てしまった、ここは貸出禁止、古い雑誌まで飾ってある、少年ジャンプ、マガジン、コロコロなどありとあらゆる漫画が壁いっぱい、二階、三階もある、まるで迷路のように階段が伸びていて、滑り台もある、こりゃ楽しいはずだ。
上を見ながら、すごいなと感心していた。
一歩足を踏み込もうとした。
「お兄ちゃん、ここ土禁」
「え、あ、ごめん」
確かに一段高くなっていて、人が入るには狭い空間だった、あっちと教えてくれた男の子、指さした方には下駄箱があり、みんなちゃんと靴を入れていた。大人も結構いるし、学生もいる、ルールがあるようだが。今はのどが渇いたのと、何か腹に入れたくて、そこを後にした。
「スゲー、全部ある。短編集、これがいい」
うちの図書室にないもの発見、あまりお目にかかれない話が乗ったものを借り、学生証を出し、カードを作った、返却は二週間、返却ポストもあるので二十四時間受け付け、それに郵便で返してもいいそうだ。それにもう一つ利点がある、借りていた本をいちいち返さなくてもいいのだ。あちこちに返却棚があり、帰りにそこに立てかけるだけでいい、もちろんそこから持って行ってもいいのだ、これはいいや。
パソコンの貸し出し?へーここはすごい人だな、ワイハイが来てるのか、パソコン使用はここでお願いしますと書かれた部屋がある、子供たちも使っている。
無料だし、ここのほうがいい、それよかノートパソコン買った方がいいかもなー。
古い映画もただで見れるんだ―、マジ、図書館スゲーじゃん。
できて二年半ぐらいたっていたが、リニューアルの文字がすごい、漫画コーナーの事が書いてあって、ここだけはつい最近できたようだ。
借りた本をもって、さっきの喫茶店へ入った。
いらっしゃいませの声に、どうぞお好きな席へと言われ中を見渡した。
一人で本を読めるように、カウンターも少し広いし、テーブル席もゆったり座れる、さすがに窓席は埋まっている、外を眺めながら見る、いいねー。
空いている席がないか、大きな窓のほうへ向かった。
ほう、これはスゲー。一列に並んでいるように見えた窓側の席は、まるですり鉢のようになっている、ということは?ここは二階?3列がうまくずれていてその先は下へと伸びる階段、なんだか講堂見たい。いいなー、道路の街路樹、それに向こう側は森のように見える、ああ公園だ。ロケーション最高じゃん。周りをきょろきょろ、席はいっぱい、いいところを見つけた、角に座り体を預けると、外が見える、ここは四人掛けのようだ。
なかなかいいな。
「ご注文は?」
「おすすめのジャンボサンドイッチとホットください」
水が出てきて、ごゆっくりどうぞと言われた、いいんだな、ゆっくりするぞ、なんて、メニューには、ゆったり本を読みながら時間をつぶしてくださいとあった、見渡すとここにも返却ポストがある。
コーヒーのお代わり自由にも引かれた。
「なかなかお気に入り?」
なんて、俺はその辺を見渡していた。ロフトだろうか、二階へ上がっていく人もいる、天井高いな。吹き抜け、落ち着いた色で、いいよな。
明かりも本を読むためか、スポットライトのようなものが自分で動かせるのが手を伸ばせるところにあって動かした。いいなこれ?
俺は制服の第一ボタンをはずし、楽な恰好で、壁に体を預けた。さて、それでは、と俺は借りてきた本を開いた。
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