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「鈴ちゃん……」 「……」 少しの間、沈黙が流れた。 けれど、私達の視線は重なったまま。 「……まだ出会ったばかりだから、すぐには返事をくれなくてもいい。だけど、今伝えさせて」 「……」 「俺、鈴ちゃんが好きだよ」 「……」 「結婚を前提に付き合ってほしい」 「……」 熱い視線は、彼の本気を示していた。 けれど、流石に出会ったばかりで、しかもまだ三回しか会ったことがないのに、結婚を前提にという付き合いに簡単にオッケーを出す勇気はなかった。 いい人なのは分かってる。 でも、焦ってはいけない気がして。 すると、井上さんは私が困っていることを察したのか、急にふわりと笑顔を見せる。 「ごめんね、驚かせたね。返事は急がなくて大丈夫だよ」 「……ありがとう、ございます」 「でも、俺は本気だから」 「……」 「いい返事待ってる」 この数日で、ふたりの男の人に好きを伝えられるなんて思わなかった。 なんて贅沢なんだろう。頭がくらくらする。 こんな素敵なシチュエーションに、力強い告白。熱い視線は目が離せない。 それなのに私はどすっぴん。いい大人が情けない。 でも、こんな私を好きって言ってくれる人がいるってとても幸せなことだ。 今度こそ幸せになりたい。井上さんは素敵な人に違いない。 ……前向きに検討してみるべき……なのかな。
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