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─────… 流石にこの歳になると三時間睡眠はキツい。 昨日はあの後、少し公園をぶらぶら散歩してからすぐに帰宅した。 勿論、家の前までは送ってもらわず、最寄りの駅で降ろしてもらった。 井上さんは危ないから家まで送ると言い張ったけれど、もし律やナツキちゃんに会った時に面倒だと思ったので無理を言って駅にしてもらったのだ。 幸い駅から家まではそんなに遠くない。井上さんに告白されて浮かれていたというのもあって、小走りするとあっという間に着いた。 私が帰宅した頃には、玄関にナツキちゃんの靴はなかった。 静かに階段を上がって部屋に入り、早く寝ようと思ったけれど、井上さんの告白を思い出してなかなか寝付けなかった。 だって、井上さんは返事は急がなくていいって言っていたけれど、あまり待たせるのも失礼な話。やっぱり焦ってしまう。 もしそれがオッケーなら許されるのかもしれないけれど、断るのなら早くしないと相手に悪い。 ……おかしいな。私はまだ断る選択肢を捨ててない。 こんなにも優しくて、私を思ってくれて、大人で、職だって安定している人を、断る理由があるのだろうか。 まだ会って間もないから迷ってるっていうのはある。 でも少し前の私なら、すぐにオッケーの返事をしていたと思う。 前の私と何が変わったのかと考えたら、やっぱり出てくるのは律の存在だった。
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