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「……律?」
私を見下ろしてくる目は鋭い。
思わず声をかけると、律はやっと口を開いた。
「昨日、どこ行ってた?」
久しぶりに律から話し掛けられた。なんて呑気なことを考えている暇はなかった。
どうしてそんなに険しい表情をしているのか訳が分からない。
「……人と、会ってました」
「あんな時間から?」
何でこんなに責められてるんだろう。
物凄く腑に落ちないけれど、ケンカになるのも面倒なので、小さく「そうだよ」と返す。
「……ふぅん」
律は、自分から聞いてきた割にはどうでも良さそうな返事をして、そのまま踵を返しダイニングテーブルに向かう。
一体何だったんだろうと怪訝に思いながらも、コーヒーメーカーからガラス容器を取り出した。
もしかして心配してくれていたのかな?いや、最近の律の態度からしてそれはないか。でも素直になれないだけだったり?
と、勝手にいいように解釈してしまう。
それくらい、久しぶりに律から話しかけてくれたことが嬉しくて、ニヤけそうになる口元を我慢しながらコーヒーをマグカップに注いだ。
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