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先に朝食を食べ始めていた律にコーヒーの入ったマグカップを渡し、自分も席につく。
やっぱりこちらを見ようとしない律に、今度は私から話しかけた。
「ねぇ律、昨日の子は彼女?」
別に彼女だろうと彼女じゃなかろうと、どっちでもいいんだけど。
何となく、今日は会話が出来るんじゃないかと調子に乗ってしまった私は、咄嗟に思い浮かんだ話を振った。
けれど言った瞬間、間違えたな、と後悔した。
先日私に好きだと言ってきた人に、なんて無神経な質問をしてしまったんだろうと。
寝不足のせいか、そこまで頭が回らなかった。
案の定、律は「は?」と怪訝な顔をする。
「えっと……ナツキちゃん、だっけ」
だけど、もう後に引けないので、控えめにその子の名前を尋ねると、律は思いっきり顔を顰めた。
「……別に鈴には関係ねえじゃん」
そう一蹴した律は、再び朝食に視線を移し私から目を逸らす。
……そうですよね…。
でもそんなキツい言い方しなくてもいいのに。と落ち込む。
まぁ、100%私が悪いんですけど。
私は返事をせず、目の前にあったサラダに手をつける。
このまま、これ以上私が話しかけなければ、いつものようにお通夜のような時間が過ぎると思った。
けれど、今日の律はやっぱりどこか違った。
「別に姉弟だからって全部話さなくていいだろ。何でいちいち詮索してくんの。俺のことは放っとけよ」
もうその話は終わったと思ったのに、煽るように付け加える律。
ただでさえ寝不足で沸点が低くなっているというのに、わざわざ喧嘩腰でくる律にイラッとしてしまった。
だから、何故だか口が滑った。
「私は告白された」
「……あ?」
「昨日、告白された」
「……アイツと会ってたってこと?」
私の台詞に、律は朝食を食べていた手をピタリと止めた。
そして眉間に皺を寄せ、鋭い視線を向けてくる。
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