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「鈴、嬉しくないの?」 「嬉しいのは、嬉しいんですけど……」 「え、なに、他に好きな人がいるとか?」 「そういうのでもなくて……」 何から話せばいいのか分からなくて、うーんと頭を抱える。 すると、慶子さんはやっぱり察しが良くて、 「もしかして、義弟くんが関係してる?ケンカしたって言ってたし、最近の鈴、なんか元気ないし」 ピンポイントで当ててくるから、素直にこくりと頷いた。 「そんな引きずるなんて、一体どんな激しいケンカしたのよ」 「……実は、数日前に弟にも告白されまして……」 「……………………え?」 何から話せばいいのか分からず、とりあえず簡潔に説明するためにそのことを伝えると、予想外だったのか慶子さんはぽかんと口を開けて固まってしまった。 そして一言、小声で「えっろ」と零した。 「なにその猛烈にエロいシチュエーション」 「いや、今はそういう話じゃ……」 「嘘でしょ。押し倒されたりしてないの?好きな女が同じ家に住んでて襲わない男ってこの世に存在するの?」 「律はそんな奴じゃないですよ」 いや、そういえばソファで組み敷かれたことがあった。寝惚けて身体を触られたこともあった。 今思えば生殺しのような場面ばかりだけど、律は襲ってくるような男じゃない。 って言っても、昨日は他の子といかがわしいことをしていた。 てことは律もやっぱりその辺は男なわけで、今まで我慢していただけなのかもしれないと思うと、申し訳ない気持ちでいっぱいになった。
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