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「会いたいなぁ……」
どうやらこの気持ちを認めた瞬間開き直ってしまったようで、思わず本音が漏れる。
しかし、昨日は気まずい別れ方をしてしまっただけに、彼と顔を合わす勇気なんてないのだけれど。
確か日付が変わる少し前だった。事が終わって、すっかり酔いもさめてしまった私は、佑真さんに何度も謝りながら目も合わさず逃げるように部屋を出ていってしまったのだ。
もちろん、その後佑真さんからの連絡はない。
佑真さん、どんな顔してたんだろ。
後悔してるかな。それとも佑真さんも─────…。
「……だめだ。私ほんとクズ」
佑真さんも同じこと考えてくれてたらいいのになんて、一瞬でも考えてしまった自分は本当に最低だ。
気まずいより好きが勝つ。なにこれ。恋って怖すぎ。
いや、だめだめ、だめだぞ成海希子。一度冷静にならなきゃ。
私はお姉ちゃんの傷付く顔なんて見たくない。
お姉ちゃんには幸せであってほしいし、一生仲良くしてたい。
こんな感情で、全てを台無しにするわけにはいかない。
大丈夫、私なら出来る。
今ならまだ引き返せる。
無かったことにしよう。
きっと仕事に打ち込めば、昨日のことなんてすぐに忘れられるんだから。
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