4837人が本棚に入れています
本棚に追加
/188ページ
慣れてるとは言っても気分は良くなくて。
居心地が悪くなった私は静かに席を立ち、誰にもバレないようにお局達の後頭部を睨みつけながら給湯室へ向かった。
本日2杯目のコーヒーを淹れながら、窓の外を眺める。
このビルは少し高台にあって、それでいてこの会社はビルの3階にあるため、とても見晴らしがいい。
私の住むこの街は都会とは言えないけれどド田舎まではいかない、小さくて住みやすい街で、窓から見えるのは公園や住宅街に小さなビル、メジャーなお店やコンビニばかり。遠くには山も見えるし、夜になると星が綺麗。
私はこの窓から覗く景色が大好きで、ストレスが溜まるとよくここに逃げ込み、ぼーっとコーヒーを飲むのだ。
ストレスの原因はほぼさっきのお局連中なのだけど、営業の仕事をしていると成績を気にしたりお客様に気を使ったりで結構くたびれる。
それでも私はこの仕事が大好きで、友達には仕事人間って呼ばれたり。
そんなんだから彼氏が出来ないんだって叱られるくらいには仕事に打ち込んでいるのだけれど、それをよく思っていない社員もいるみたいで、私が成績を残せばいつもこうして陰口を言われていた。
社内で揉めるのだけは避けたいからと、毎回スルーしているのだけれど…いい加減面倒臭い。
だけど私を助けてくれるヒーロー的な男性社員がいないのも悲しい現実。
入社したての頃から、女だからといって舐められたくなかった私はクールキャラを決め込んでひたすらテキパキと仕事をこなしてきたせいか、気付けば男性社員からも距離を置かれるようになっていた。
と言っても、別に壮絶なイジメを受けているわけではないし、私を敬ってくれる後輩や仲良くしてくれる同期だっている。
課長は若干下心を見せながらも私を可愛がってくれているし、社内恋愛をしたいわけではないから男性社員と仲良くしたいわけでもない。
寧ろ男性社員と楽しく会話をしようものなら、お局になんと言われるか…考えただけでもゾっとする。
あんなお局にはなりたくないといつも思うけど、このままでは私も"お局"と呼ばれるようになるのかと思うと、そろそろ本気で婚活を考えなければ。
最初のコメントを投稿しよう!