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ストーリー9
生徒のいない学校。
こんなにも静かなんだなと、俺たちは下駄箱でうち履きに履き替えていた。
「来たな、カバンこっちに置け」
いいの?
いいんだという職員室は一人の先生だけで、みんないない、この光景も不思議な感じだった。
ダブリンの席の側に俺たちはカバンを置き、先生の後を追った。
「ひえー」
「なにこれ?」
「くっせー」
先生方も廊下からただ茫然と中を見ていると言ったところだ。
そこには死ねとスプレーペンキで書かれた文字、そしてAさんBさんの写真が貼られ、殺すと写真で書かれていた。
すると先輩は教壇にのぼり、ペンキを触った。
「ちょっと遅かったようです、少し乾いています、ホームルームが終わってからこの教室へ入られたのはなぜですか?」
生徒指導の先生が、喧嘩をした生徒の荷物を取りに来たらこうなっていたと話した。
俺たちが来るまで時間はどれくらいでしたか?
「ニ十分ですかね」
「俺たちは田村先生から連絡をいただきました、バスで来た時間丁度なので時間はあっています、何も触っていませんね」
「日向、何をするんだ?」
「推理をします」
「推理?そんな、漫画みたいな」
「まあ、まあ、警察沙汰にもしたくありませんから」
そういったのは教頭先生だ。
「まずは時間、ホームルームが終わってから俺たちが到着するまで、一時間十五分、さて、これだけのこと、誰か一人ではできませんね」
俺は足元を見た、どう見ても複数犯。
「同じ靴底、生徒で間違いない」
と俺が言うと目が俺の方に注がれた。
「百合ちゃん達、入ってくれるかな、写真をよく見てほしい、ああ、先生方は入らないで、まだ乾いていないので、前の方から入ってくれるかな?」
三人は写真を見てこう言った。
「私たちの写真じゃない」
「なんか慌てたのかな?知らない人」
「生徒も映ってるけど、なんかおかしい」
俺は彼の前に立った。
なんだ?というような顔の教師。
「写真のコピーしましたか?」
「何のことだ?」
「清水先生、村山先生のパソコン調べてください履歴が残っていると思います」
「なんで私が!」
「見られるとまずいものでもあるんですか?ないのならいいでしょ、プライベートなのがあっても先生なら言わないですよ、ねー先生」
「見せていただきますね」
「セ、先生!」
「はい、先生はここで待機ね」と雄一が前をふさいだ。
くそっ!そう聞こえた。
「警察沙汰にしてもいいけどな、懲戒解雇処分、あんたはこの先教師にはなれない、さてどっちを選ぶ?」
顔をそむけた。
「教頭先生、村山先生からはしっかり聞いてください、生徒の保護者からわいろをもらっている可能性がありますからね」
「先生、それは本当ですか!」
「ああそれと、田村先生のケガの原因も今から解明しますから」
「だって、覚悟するんだな」
がっくりとうなだれたような気がした。
さてこっちの教室はここまで、写真をはがしましょう。
「数人の先生方、今から隣のクラスに入りますので、ちゃんと見てくれますか?」
行こうと肩を叩く先輩と隣に入ろうとしてまずは扉のチェック。
「指紋が付いています、取れればいいのですがどうしますか?」
「取れるのか?」
するとセンタがスマホを見せた、写真を取ればいいんですという。
頼むという先生は一年の学年主任だ。
OK。
写真を撮り、先輩はドアを開けた。
何もない。
先輩が歩き出す。
俺はあるところへと向かった。
やっぱりあった。
「一馬あったか?」
「あるよ、出す前に写真撮ります」
「うん」
写真を撮り、それを抱え、廊下にいる先生方に見せた。
「ゴミ箱?」
「そう、これ見て、しっかり拭いたのを捨ててるし」
「犯人が特定できるよなー」
「ああ、ほんと頭たりねー」
そこにはペンキのついたТシャツ、足を拭いた紙、雑巾。ハンカチのようなものもある。
「これ付け爪、ということは女子もいるね」
先輩はあちこち見て歩いている。
何か見つかりましたか?
「ああ、面白いものが見つかったよ、さて、それでは先生方、犯人捜しはどうしますか?」
村山君に聞けばいいだろうというけど。
「そうそう、田村先生の事故のなぞ解きをしなくては」
わざとらしいな。
「皆さん、どうぞ隣の階段へ、見たくない方はかまいませんからね」
俺たちはそれをくすくす笑ってみていた。
隣のクラスのはるみ達もやってきた。
「さて、ではあの日の事を再現したいと思います」
準備があるので、数人は動きながらになりますが。
そういうと先輩は俺にある物を渡したんだ。
「これどこに?」
六十センチほどの棒。
「掃除用具の中だよ、長いからね」
「さすがです、じゃあ仕掛けてきます」
「頼むよ。では田村先生、あの日、このクラスの前で、掃除をしていた女子覚えていますね」
「ああ」
どんな格好で、どこにいましたか?
格好って、あージャージ姿だったな。ここにこうしてかがんでいたな、ほうきと塵取りをもって。
センタがほうきを持ってきてそこにかがんだ。
「では先生はそれをよけて歩きます、さてどこで押されたんでしょうか?」
階段の中央に差し掛かった時。
「えい!」
センタはそう言って先生の背中にほうきを向けました。
「どうですか?こんな感じじゃなかったですか?」
「いや?もっと幅広い感じで…」
「ではこれならどうでしょうか?」
こんどはモップを持っていた。
「えい!」
「どうでしょう?」
「ああ、これだ、これで押されたんだ」
「ですが、ただ押されただけなら階段に飛ぶように突っ込むということはありませんよね」
「まあそうだな、ある程度の衝撃はあったが、俺は飛んだんだ」
衝撃ですか。この生徒、女子だと思い込んでいませんでしたか?
思い込むも何も女子だろ?
かつらをかぶっていたら?
「あー、そうか、男子もあり得るという事か」
「どうしてそんなこと?」
実はこのモップには釣り針がついていてある程度の力がいるのだと話した。
それを見せたとき、先生方から、おいおい、という声がしていた。
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