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プロローグ
ベーカー街のねぐらに戻り、疲れた体をやっと椅子に乗せるとワトソンは私には何が残ったと聞いた。
虚しさよりも素直にこう答えた。
「…面白い事件を一人で解いた満足感」
机に向かいノートを手にした彼に私はこういった。
「君の書く物語には似合わない、またいい事件が君の前に現れるさ」と。
byシャーロックホームズ
腕が後ろから回ってきた。
「一馬、図書室か?」
「…ああ」
「たまには顔出せよな」
俺は手を振って、カバンを手に校舎から見える、狭く暗い空を下から覗いた。
チッ、うぜーんだよ。
ひょこひょこと右足をかばいながら歩く。
もう、ケガは治って走ることもできる、でもなんだか、同期で走り回れる奴は、スタメンを手にしたのか、喜んで教室を飛び出した。
カバンとスポーツバック、そこにはバッシュ―が揺れていた。
未練たらたらだな。
一馬―!
後ろからの声に振り返った。
雄一の顔を見ては又戻し、歩き出した。
「足、どうした?」
なんだかうずく。
「水虫か?」
それにカバンを振り回した。
「あぶねーな、なあ、ちょっと来てくんねぇか?」
来た道をUタウン、教室の方へと向かった。
「センター、帰る?」
教室を覗くとカバンに手をかけ、今にも帰りそうなクラス委員長。
「ああ、お前らほど暇じゃない」
「予備校?」
うん、と言いながらカバンを手にした。
「ちょっとでいい、十分、いや五分でいい、ちょっと来てくれないか?」
俺とセンタは何だよという風に雄一の後ろをついて行った。
職員室に入っていく。
なんだ?
「先生、来たぞ」
「おー」
そこには担任のダブリンがすごい顔をして座っていた。
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