分からなかった愛し方(※)

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■※ご注意ください※■ 無理矢理な行為について 短いですが触れている部分があります とんでもなく幸せそうで、でも彼女の事で悩んでいるようなどこにでもいる普通の…恋人の顔してるあいつを初めて見た。おそらく初対面の女性と、自然に話しているのも初めて見た。 衝撃だった。 ひとりぼっちの影は消え、そこには本当に普通の男がいた。 なんで。どうして? お前は僕と一緒でずっとひとりぼっちだろ。 僕もずっとひとりぼっちなんだから、そうじゃなきゃ、駄目だろ。 兄の存在も、姉の存在も眼中から消えた勝手な考え。 怒りに勢いよく片側に振りきれたシーソーは、彼女を道具として使う事しか考えられない。大切な事に気がつかないまま、1度傾いた機嫌は直りづらい僕だった。 噛み砕いたらまた甘い匂いがしてくれないかな。体の中にそれは残っているのかもしれないと本気で考えていた。 あんな時まであいつの事でいっぱいで、静かに行為を受け入れようとした彼女が面白くなくて、1度噛んだら痛がって反応してくれた。 だから…いっぱい噛んだ。 小学生の頃、高校生のあいつを見て感じた未来。すっかり変わったあいつの姿を今度は『未来の希望』として受け止められていたら。きっと、絶対、あんな事は… 好きだから奪いたいわけじゃなかった。 傷つけたくて思いついた行動に思考を支配され、最もらしい理由をつけようとした結果の 『好き』 あいつに多香ちゃんの事が好きだと伝えたのも、困ったり慌てたりするのかなと思っただけ。 そのはずだったのに。 それが嫉妬で、彼女の事が本当に好きだから…幸せそうなあいつが羨ましかったからこそ傾いた機嫌だということに気がついたのは、部屋で2発殴られた後。床に落ちていたカタバミの小さな花を見つけた時だった。 高校の時から何も変わっていない。 ああ、あの時気持ちのバランスをうまく取れていれば落ち着ける彼女の側にいる時間が増えたのにと、後悔するばかり。 何にも考えず、変わらなかった僕のせい。 多香ちゃんはちゃんと、僕の事も見てくれていたのに。教えてくれていたのに。 気がつけた今…僕に出来る事ってなんだろう。 手の中にはカタバミの花。 一体いつから好きだったのかな。 改めて考えてみる。 『似合ってると思うよ』 きっと、あの夕焼け色の教室で手を掴んだ瞬間から…ずっと。
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