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「そのまま中に入れて欲しいって言った時」
ふたりで並んで寝ても余裕のあるベッドの中、限界まで近づいていたくて絡む脚。裸のまま、リボンもそのまま。繋がる手は、肌が艶々と輝きだしてしまいそうなほどもう何度も擦り撫でられている。
「びっくりした。でもお母さんの言葉を、私より大切にしてくれてるんだって…嬉しかったよ」
感触に集中する為にか、閉じられていた瞳がゆっくり開く。
「一緒に行きたい所がある」
「また宣言」
「欲しい物と、あげたい物もある」
「忙しいね…」
「あ、しまった」
勢いで明日にでも言う所だった…と抱き締め直されても、何のことやら気になって触れ合いを堪能できない。
頭を胸板に押し付けられ、顔を見て問い詰める事も叶わず。抗議したいのに滑らかな肌にはりついた耳から聞こえる心音とぬくもりに、黙らされてしまう。
「あと1週間…俺の誕生日まで待って。それまでにはなんとか聞き出す」
「聞き出す?」
「照れる悠一郎さんは手強いんだ」
「お父さんが、照れる…」
頑張ってみたものの想像できない。よほど悩んだ顔をしていたのか目が合うと同時に笑い合った。この大切な時間に、腕の中に、帰ってこられたとますます実感する。
「プレゼントは何がいい?」
「当日調達。何も用意せずついて来てくれたらいいから」
「えー…何かあげたい…」
「考えてみるよ」
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