それぞれの燃え方

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「茅香が下着姿で出てきた時は誘われてんのかと思ったな」 「下着…?」 「あ!お父さん!それは…!」 「なんだ言ってないのか。木田に脱がされて軟禁されてたって」 言われて見れば確かに背中の痣の存在を本人が知るには、かなりはだけていなければ不可能だ。あの日はいろんな事がありすぎて気がつけていなかった。 「私もうちょっとおかず作ってこようかな、」 「待て。ほんとお前は…!お前はほんと…!」 「いひゃいーー!ご、ごむぇんなさぁいっ!いひゃい!」 キッチンに逃げかけたのを捕まえて思い切り頬を伸ばしてやった。悠一郎さんの前だろうと容赦しない。柔らかいからよく伸びた。 「何もされてないんだよな?」 「多分!」 「肩紐落ちてたぞ」 「お、ま、え……っ!」 「木田さん!木田さんが悪いのに!なぜ!」 「あのインテリ眼鏡…っ!」 「そういえば茅香に誘われた事あるんだって?どうだった?」 絶対に父親がする質問じゃない。適当にはぐらかそうかと思ったけれど、おしおき代わりに。 「彼女は誘ったんじゃありません」 「そ、そうだよ!誘ってなんか…!」 「俺に誘わされたんです。最高でした」 「ちょっとー?!」 「…どう誘わせた?」 「簡単です。まずお風呂で、」 「あ、これ嫌がらせだ。ごめんなさい!お願いやめてー!」 分かればいいんだ。分かれば。 俺の事は全部欲しいと言っておきながら、自分の事は分かりやすく隠し事をよくする彼女だ。 「その木田だがな。このまま終わりっつうわけにもいかねぇから、明後日にでもふたりで社長室に来い。オトシマエつけさす」 「もう十分オトシマエついてた」 「俺にはな。お前と色男にも必要だろ。脱がしていろいろしたんだから」 「されてない!下着つけてた!」 「ついたままの方が燃える事もある」 「なるほど」 「なるほどじゃないだろ…!」 「いろいろした後に着けただけかもしれねぇしな」
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