184人が本棚に入れています
本棚に追加
/369ページ
小さい寝息が聞こえ始めると、動向からは想像できないような慎重さでカーテンを開け、そっとベッドに腰かける。
彼女の髪を撫でるのは男としてか、父としてか。
薄暗い程度のベッド付近。
こちらから表情は見えなかった。
「茅香…」
亡くなった茅香子さんにそっくりだという娘。重ねてみていると本人も自覚しているようだが、そんな弱さも父と娘のコミュニケーションの一端になっているようで本当、不思議な家族だ。
戻ってくる直前、シャッター音がしたのは聞こえなかったことにしよう。
最初のコメントを投稿しよう!