それぞれの燃え方

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「あれも買おう」 「もういいよ買いすぎだよ…」 彼は買い物も豪快だった。 まずは希望通りに寝具カバーひととおりに加えて彼女のパジャマ、服。放っておくと『ここからそっちまで全部』な買い方をしそうになるのを宥め続けた。 ショッピングモール内、前を並んで歩くふたりについていく自分の両肩には多数のショップバッグ。こんなに1日で買い物したのは初めてだ。 恋人同士と言っても疑われない程近い距離のふたりに続く、視線を集めやすい自分。周りから見ると同伴中のホストと付き人、といったところだろうか。 視線の先、小指の指輪が光る男の手は、愚痴で聞いた通り彼女の腰に回っていて、気がつけば睨んでしまう。 もちろん、男とすれ違った時に怯えが無いかどうか確認しているのは分かっている。どこまで立ち直れたのか測りたかったんだろう。 しかし腰というより尻、という場所なのはどういうことだ。その定位置はやめてほしい。 「だから、近い!」 「どこかの誰かは俺がそう言っても絡み付いてきやがったから消毒してる」 振り返った吊り目が見開かれた。 「茅香だけじゃなくなった。汚された。文句はねぇな、色男」 「…すみませんでした」 「茅香、ちゅーしてやろうか」 「気持ち悪っ」 根に持たれている。 それ以外方法が浮かばなかったし、自分の誕生日まで時間がないからどうしても聞き出したかった。『ちゅー』は脅しただけでしていない。 「その色男って呼ぶのどうにかならないの?」 「色男は色男だ。お前こそすごいの捕まえてきやがって。モデルやれって説得しろ」 「絶対駄目!」
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