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視界の端に焼きついて消えない嗜好性の高いパジャマにカーソルを合わせ、クリック。彼女の体へドラッグし脳内で着せ替え。デザインを思い出しながら空想の黒い布地を撫で確かめる。
デコルテの凹凸の魅力を更に引き出してくれそうな細すぎるキャミソールの肩紐。
「くすぐったいよ」
まだこちらの意図に気づくことなく笑えていた。
ところがフロント、谷間を飾るサテンリボンを弄ぶ動きに変えると途端に鼻を抜ける声に色がつく。
「んっ…」
唯一左右の薄い布地を繋ぐそれは、軽く引くだけでほろりとほどける弱々しさだった。
ようやく追い込まれている事に気づいた体が逃れようとするが、遅すぎる。シンクに囲って叶えない。
「それで…お父さんが、殴り込み、に」
「こら。勝手にチャプター飛ばすな」
「やらし、触り方…しないで」
水道はなんとか止めた。一層クリアに聞こえるようになった熱い呼吸音が、自分の視界にしかないはずの頼りない布の存在を濃くしてくれる。
リボンで繋がるは少しの動きでふわりと揺れるシフォン。斜めに背中へと抜けるレースの間から覗く薄い腹と臍をおまけで辿ると、シンクを掴む手に力が入る。
「名前を、呼んでって…言われて…」
「…呼んだの?」
下は黒のTバック。履いているのに剥き出しになるだろう、尻。普段しっかり履いていても撫でたくなるそこは、あの下着の背徳感と合わさると一体どんな光景になるのだろう。
体がくねる動きによって強調された、突き出される張りを確かめる。
悠一郎さんの消毒の消毒だ。
「ひゃぅっ?!」
妄想でほどいた胸元のリボンの奥、胸を掬いながらぺろりと耳を味わうと、動きに促されるかのように体が飛び上がった。
必死に首を振って答える間も味見は止まらない。
「背中の痣は?」
「ベッドに、俯せたから…その…」
「隠し事はなしだ」
「布団、剥ぎ取られて、覆い被さられ…ふぁっ…もう、やめ…っ」
現実、服も開かず直接触れてもいないはずなのに声色は行為中と大差ない。やめてと言いながら聞かせてくれる敏感な反応に、知らず口角がだらしなくなった。
「その後すぐ、お父さんが来たのっこれで全部!」
「明日のオトシマエが楽しみだ」
解放してやると上がりっぱなしだった肩がようやく安堵で落ちたが、息までは落ち着かない。そのまま振り返り喚き始めたのを止めようと唇を啄んだが、逆効果だった。
ベッドに入るまで、彼女なりに精一杯の冷たい態度を取られたもののそんな時間にも幸せを感じる自分は、相当な多香子馬鹿だ。
拗ねながらも、当然のように繋いで眠り始めた手に、今夜も目覚めることなく朝を迎えますようにと願い、目を閉じた。
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