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「随分変わっちゃって。腹が立つね」
耳朶をくすぐられるとは予想していなかった体が跳び跳ねた。反動で距離が開きそうだったのに掴まれたままの手首で、やはり叶わなかった。
「露利にも教えておいたから、可愛がってもらってるんでしょ?ま、すぐ分かったと思うけど」
「いつ教えたんですか…」
「きっぱりお別れされたときだよ」
褒めるわけではないけど、さすが。
それ以上ない嫌がらせだ。
「それでさ、重婚どう?」
「今までの話聞いてました?」
「聞いてた結果プロポーズしてるんだけど?」
授業中、目が合ったときにくれた笑顔のまま。
もう立会人がいなくても、しっかり自分を保てるくらいになれた。あのときはコンタクトレンズが外れたばかりで、お別れをすることに精一杯だったな。
今なら?
怜さんに言ってやりたいこと。
してやりたいこと。
「なら、私のハジメテ…もう1つ、貰ってくれますか?今のところ怜さんにしかあげられそうになくて困ってます」
「またハジメテくれるんだ。楽しみだな」
「喉仏キレイですね」
昔好き勝手出来た相手の為に、油断しかしていなかったクソ野郎。苦しめばいいと思いながらその急所を手のひらで突いた。ぐにゅっと軟骨を押し込めた感覚がして気持ち悪い。
もともと距離も近かったし、初対面でもなければ感情をこめることもできて簡単だった。ほんの少しだけ、手加減はしておいてあげたけど。
ざまあみろ!
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