番外編 1

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勉強は出来る方じゃないけど、好きな方。 暗記は苦手。 会ったこともない人の名前と詳細3桁分なんか、パラパラ漫画をみるように触っただけで目眩がする。 いつかはやらないといけないとわかりつつも、どうにか逃げられないかな、なんて甘い考えの割合が高いまま、焦らすような気持ちで誘いを断り続けてきた1週間だった。 昨日だって本当は早くベッドに入るつもりなんてなかったのに、仕事を理由にしてまで逃げてしまった。 証明してみせる。 この『1回』を。 本人が『俺ならこんな男は選ばない』というめんどくさい男と、相当な努力をしてまで一緒にいたい。 どこからこんなに意欲が湧いてくるのかなんて、知りすぎている。答えは彼のそこかしこから。全てが、欲しいから。 「いや、明日からにしよう」 「今すごいやる気になってるのに」 「そのやる気は…俺にちょうだい。ベッドで」 「…あっ!や、でも、」 「逃げられないって知ってるのに逃げようとするとかほんと…」 「ご、ごめん…」 「燃える」 「燃えやすいなぁ!もう!」 「どうしてこんなに燃えやすいか知りたい?」 「…知りたい」 「中も外も隙間なく、覚えさせるため」 ベッドに運ばれ早々と空気を奪われながら、改めてショートパンツをはくことを言い逃げた件を咎められる。 1日燻った拗ねた追い込み方に容赦なんかあるわけない。心臓騒げる色めいた顔を見上げ、いつもの質問と口先だけの答えに溺れていく。 「あっ!」 「濃いのついた…今日はいっぱい、つけていい?」 「…ぅんっ…」 「奥も…また味わいたい」
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