番外編 1

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「もう1回、だ、け…」 「終わったら、『あと1回』?」 「…っ…ん…ほんと、そう、なのかも…」 「…どうした?」 「あの、ね…?いまの、欲しがる、私…紅大からはどんな風に、見えてる…?」 「つぼみかな」 頬を撫でてくれながら。真剣な顔ですぐに返ってきた言葉に、昨晩のようにまたも状況を忘れた。視界の水たまりは波紋をつくり続ける。 思ってもいなかった可愛らしい例えが『愛してる』に聞こえたのは、耳がおかしくなってしまったからだろうか。 熱い声と視線に、込められた想いを感じる。 『やらしい女』『淫乱』『好色』 結局は毎回本音を引きずり出されるものの、彼を求めてしまうことに対する後ろめたさの理由に気がついた。 突然浴びせられた言葉は知らず知らず、深く刺さっていたらしい。 必死に堪えたもののこめかみをつたった雫は、理由も知らない手がゆっくりとぬぐってくれた。 「愛とは花を育てるようなものだって、有名な人が言ってたよ」 「そう、なんだ。花に…見えてるんだ」 「ここだけで咲く、俺だけの花」 全てが愛の言葉に聞こえて、全身が溶かされそうに熱い。 「間違っても知らないところで花が開かないように、全身に俺を教え込んでる。どうも引く手が数多なつぼみだから」 「どんな花が…咲くの?」
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