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カイルの場合。【7】初夜後編★
頭を洗い、体を洗い、湯船に浸かりながら俺はヒューイおじさんとの話を反芻していた。
処女というのはアソコがとてもキツいので、気持ち良くして緊張を和らげないといけないのだと言うが、人によって気持ちいい場所が違うだの、指は3本位は入るまで我慢しろとか、童貞に対して無理を言うなと思う。
「大丈夫、乱暴に触らなきゃ濡れてくるから。
お前のモノは……と」
いきなりヒューイおじさんは俺の股間を掴んで舌打ちした。
「……親父に似たのはここもか。せめて1回、いや2回はイかせてからにしろよ。痛がるだろうから」
俺のナニは大きいらしい。
人と比べた事がないので分からないが、初めてからマデリーンをイかせるなどというテクニックが自分にあるとは思えない。
(とにかく優しく、優しくだな)
これから幾らでも機会はあるのだから、マデリーンに気持ち良くなって貰えるよう頑張ろう。
俺は既に少し元気になっていたムスコに、出番はまだだぞとたしなめながら湯船から立ち上がった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「……マデリーン、入るよ」
「──どうぞ」
王宮のすぐ傍に建てられた屋敷は、まだ子供もいないのにウチの屋敷より大きい。
やはり王族なんだなと感じるのはこんな時だ。
我が家も一応貴族ではあるのだが、母が気取ったやり取りを嫌うし、成長してから気づいたが、貴族の妻が毎日のように料理やお菓子を作る事は殆どない。
学校に通っていた頃に男爵家の友人の家で食事をご馳走になったが、全て料理人が作った物を出していて、母親は座っているだけだったのを不思議に思った事もあった。
シャインベック家にもジュリアという料理人はいたが年配だったし、殆ど母がやっていたので辞める前は手伝いレベルだったかも知れない。
ウチの執事だったアーネストと最近結婚して引退してから我が家には料理人はいない。
母が作って、ルーシーやサリー、ミルバがワイワイと補助する感じである。
クロエが手伝っている事もある。ジークライン王子の胃袋を掴む為らしいが、母の血を引いて料理をするのが好きなようだ。アナは全く向いてないが。
そんな今までどちらかというと庶民的な暮らしをしていた俺には、広すぎるこの空間が落ち着かなくなる時もあるが、いずれは慣れるのだろうか。
夫婦の屋敷の寝室はキングサイズのベッドを入れてクローゼットや鏡台、テーブルなどを置いても広々としている。勿論寝室の隣にも風呂と洗面所、トイレはついている。そして、ベッドの上には天使が座っていた。
え? 女性の寝間着ってあんなにスッケスケなの?
風邪引かないの? ていうかおっぱいまる見えじゃない? 乳首が見えそうな辺りには刺繍があるけど、ほぼ全裸じゃないの?
俺が言葉も出せずにガン見していたら、マデリーンが恥ずかしそうに毛布を引き寄せた。
「ご、ごめんなさい。ルーシーがね、お勧めの店があるってマーブルマーブルに行った時に連れていってくれたの。リーシャおば様もそのお店で揃えたんですって。
だから、リーシャおば様の家みたいに長い間仲良くしたかったから縁起物かと思って勇気を出してみたんだけど、やっぱり胸以外は鍛えてるから、傷もあるしゴツゴツしてて女らしさが足りないわよね」
「いや、似合うし綺麗だ。とっても可愛いけど、俺には刺激が強すぎて……」
ガウンの下は既にスタンバイ状態になっているのが情けない。
俺はバレないようマデリーンの横に座り、頬にキスをした。
「ゴメンね、俺も本当に剣術ばっかりしてたから、最初は気持ち良くしてあげられないかも知れない。
初めては娼館で済ます奴らも多かったんだけど、マデリーン以外の女性とそういう行為をするのが嫌だったから。だから経験値が足りない。いや全然ないんだ」
格好つけてもどうせすぐ分かるだろうから、白状する事にした。
「何故謝るの? カイルの初めてが私になるんでしょう? 私の初めてもカイル。嬉しいわ、他の女性と体験してなくて」
経験なんて積むものだし、先は長いもの、何とかなるでしょうとマデリーンはいつも優しい。
俺の唯一無二の天使だ。
何とか彼女を気持ち良くさせたい。一緒に気持ち良くなりたい。
「痛かったらすぐ教えて」
横たえた彼女を見ながらそう告げると、頷いたマデリーンの唇を味わう。彼女と舌を絡ませながら、上の布地もどきを脱がせる。何とリボン1つで脱げるとは何ていやらしい下着だろうか。素晴らしい。
初めて触るマデリーンのおっぱいは、フワフワで力強く握ったら怪我をさせてしまいそうだ。
ちょん、と立ち上がった乳首をくわえると、
「あんっ」
とマデリーンが声を上げる。
もう止めてくれ股間が既に痛いのに、そんなエロい声をあげられるとヤバい。
しかしおっぱいが気持ちいいし美味しい。
舐めてるとドンドン立ち上がって来て、モジモジと体をくねらせるマデリーンも可愛い。もう俺はおっぱいに顔を埋めてるだけでイケそうな気がする。
いかん、自分だけ気持ち良くなってどうする。
俺はそっとパンティーに手を伸ばす。
クロッチの上からそっと撫でるが、既にしっとりとしている。マデリーンも少しは気持ち良くなっているのだろうか。
邪魔なパンティーも脱がす。
マデリーンは下の毛が薄いようだ。愛液が中から出ているのが見える。指を1本ゆっくりと入れるが、本当に狭い。自分のムスコを見下ろし、まだとても入らないとちょっとガッカリする。童貞は我慢が利かないのが困りものだ。
指を抜き差ししながら、赤くなっている花芯に舌を這わせる。おっぱいも下も美味しいとか、女性は偉大だ。
「ひゃんっ! カ、カイル、それは汚ないからっ」
「ん? 汚なくないよ。マデリーンのここ美味しい」
夢中で舐めていると、どんどん愛液が溢れてくる。指を増やしても大丈夫そうだと2本にして動かしていると、ある場所に来るとマデリーンの腰が跳ねるのが分かった。
「マデリーン、ここ気持ち良い?」
「……あ、っ、気持ち、いい。何か、変な感じ……ああぁっ」
マデリーンがいきなり動かしている指をぎゅーぎゅー締め付けて足をガクガクさせた。
「イッたの?」
胸を上下させながら頷き、ハアハアと息を整えるマデリーンは頬が薔薇色になって心底愛らしい。
でもまだまだ俺のサイズでは厳しそうだ。
とぷりと溢れる愛液を味わいながら、そのあと2回マデリーンをイかせる事が出来た。
まだキツそうだが俺ももう限界だ。
「挿れるよ」
ムスコに愛液をまとわせて、蜜口にあてる。
ヤバいこれは気持ち良すぎる。
グイッと先を挿入すると、
「あ、ん、おっき……」
とマデリーンが喘いだ。
あ、ダメだもう無理。
我慢に我慢を重ねた俺のムスコは、マデリーンに先っぽを挿れただけでイッてしまった。
「ごめん、もう我慢出来なくて出た……死にたい……」
早漏か俺は。ものすごく落ち込む。
「やあね大げさな。初めてなのに私を沢山気持ち良くしてくれたんだからそっちの方がすごいわ。──え、何かまた大きくなったような……」
俺の精液のせいで滑りが良くなったので、少し入口で抽送してたら直ぐに復活した。
若さと童貞を舐めたらいけない。
「マデリーンと俺の子供が早く欲しいのに、こんな子宮にも届かないようなところで出してる場合じゃないよ、ねっ」
ぐんっ、と最奥にムスコを送り込んだ。
「んんんっ!」
マデリーンがのけぞった。
「マデリーンの中はすごく気持ち良い……痛いよね、ごめん。ゆっくりするからね。俺のサイズに慣れてね」
キッツい膣内をゆっくり抽送しているうちに、マデリーンも痛みだけではなくなったようだ。
「カイル、キスして」
マデリーンの可愛いおねだりを叶えながら、最奥に白濁を放った。
世の中の恋人や夫婦はこんなに気持ち良く充たされる行為をしているのか。
俺は乱れた呼吸でそんな事を考えた。
「……マデリーン、セックスってやっぱり好きな人とするのが一番気持ち良いよね。
俺は初めてがマデリーンで良かった。
今までもこれからもずっと愛してる」
「私も愛してるわ。──ところで何でおっぱい揉んでるの?」
「え? フワフワで気持ち良いから」
「そして、今さっき終わったハズなのに何でまた元気になってるの?」
「え? おっぱい揉んでたら自然と」
それから夜もかなり更けるまで、俺はマデリーンにムスコのカタチをしっかり覚えて貰うよう頑張った。
マデリーンは、俺の欲望を全部受け止めてくれたが、内心で
(……リーシャおば様とルーシーが『童貞と致すのは体力勝負よ』って言ってたけど、本当だったわ……私、鍛えてて助かったかも)
などと冷静に思っていたとは思いもしなかった。
□■□■□■□■□■□■
「母様ー、カイル兄様から手紙来てたわよー」
外でアレックと護衛術の鍛練を終えたアナが戻ってきて、居間でルーシーの淹れたぬるめのカフェオレを飲んでいたリーシャに手紙の束を渡した。
「まあ珍しいわね。いつも手紙書くの苦手だとか言って電話ばかりなのに」
カイルが結婚してもう半年。
マデリーンからも手紙や電話でケンカもせず仲良くやっているらしいが、何かあったのだろうかとリーシャはペーパーナイフで封を開けた。
中に目を通していたリーシャがバッ、と顔を上げた。
「──まあっ! マデリーンが懐妊したそうよ!!
ちょっと3ヶ月ですって」
アナも顔を輝かせた。
「本当に? クロエとブレナン兄様にも知らせないと!」
「まあそれはおめでたい事ですわね!……1つを除けば」
ルーシーの発言にリーシャは不思議そうな顔をした。
「何よ1つを除けばって?」
「今3ヶ月という事は、あと半年ちょいで生まれますわよね? ここまではお分かりですか?」
「私をアホの子みたいに言わないでちょうだい。当然生まれるわね。それが?」
「リーシャ様は39歳で【おばあ様】になると言う事ですわ。ついでに申し上げるとアナ様やブレナン様たちも叔父様や叔母様になると言う事でございます」
「──ひいいいっ!」
「え、17でおばさんなの私?」
「アナ、あなたが叔母さんと呼ばれるのは兄弟が結婚して子供生まれたら必ず呼ばれるんだからいいのよ。
でも私は40を前におばあ様よおばあ様?
御義父様や実家の両親なんて【ひいおじいちゃま】【ひいおばあちゃま】よ?
こんなに早く孫を授かるとは……もう体力仕事は無理ね。ルーシー、私おばあちゃんになるから仕事減らしましょう」
「孫、というのは可愛いものらしいですわねえ。
色々してやりたくもなるらしいですし? 遊びに連れていったりプレゼントを買ってあげたり……となると、先立つものはやはりお金ですわよねえ?」
「そうねえ、別に孫でなくとも子供は可愛いのに、家族となるとねえ……でもカイルにも結婚式の後で、
『息子の結婚祝いに8桁の金が入っているような通帳をしれっと寄越すのは止めて下さい』
って怒られたし、何とかいざという時にも使えるし、で返そうとするのを無理に受け取って貰ったのよ?」
「子供と孫は別物でございます。
大旦那様たちをご覧になってましたでしょう? じいじとかばあばと呼ばれるのを心待ちに貢ぎ物持って足繁く通っていたではありませんか。
今でもお子様たちが遊びに行く度に、何か欲しいものはないか、食べたいものはないかと聞かれるようでございますし、幾つになっても孫は可愛いと申します。
マークス様やブライアン様も可愛がっておられますし、リーシャ様がそうならない保証がどこに?」
「──そうねえ。やっぱり働けるうちは働いた方がいいかしらね?」
「左様でございますね。
わたくしも働けるうちは働きますので、筆を止めるならわたくしの引退と同時でお願い致します」
「ルーシーは私より元気で長生きしそうだけど、ダークもいずれは退職だものね。私が働いてないとまずいわね」
「さすが未来の大黒柱。夫を支える美貌の妻。──では、休憩も終わりましたしお仕事に戻りましょうか」
「その取って付けたようなお世辞は止めてちょうだい。働くわよ、働けばいいんでしょう」
シャインベック家はいつも通りのようである。
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