辛杉家の憂鬱 蜜子編

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 小さい頃は、誰しも家族に祝ってもらって、誕生日は上機嫌で過ごしたことだろう。  が、四十を超えるとさすがに嬉しくはないし、ついでに蜜子は、世の中の「母親」とは正反対に、子供に祝ってもらえるのであってもある理由から嬉しくはなかった。  なぜって、喧嘩になるからである。 「やっぱり祝い事ならカレーだろ! ポークカレー!」 「カレーは賛成だがポークは納得いかない! ビーフだビーフ!」 「いっそ混ぜちゃえばいいんじゃない? 鳥肉も羊肉もなんでもござれのミートカレーとか」  豚が命の長男シゲキと、牛肉大好きの次男のシン、末っ子のなんでもぶっ込み味音痴のララ。  子供たち三人は、毎回蜜子の誕生日に手料理を振る舞ってくれる。だけれど、メニューはいつもカレーの上に、それぞれの好みが違うので毎回どんなカレーかで喧嘩をする。
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