辛杉家の憂鬱 蜜子編

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 元気に宣言したララは、隠し味というには、いやいや隠してないよねというくらいの量を鍋に入れ始めた。しかもワサビ多めだ。  カレーにワサビって……と思う暇もなく、次にララは冷蔵庫から出したキムチを投入していく。ついでにシンが使っていたスパイスを適当に鍋にぶっ込んでいった。七味唐辛子を入れるような小瓶を逆さにして、ララはふりかけでも振るかのように勢いよく鍋にかけていく。  それを見たシンが急に慌てた。 「おいララ、それはハバネロペッパーだぞ!」  そんなに使うもんじゃない、とシンが言ったそばから、なんと勢いよく振られた瓶の穴あきふたが取れた。  ぽんっと子気味いい音を立てて鍋に墜落した蓋を追って、ハバネロペッパーの赤も墜落。  わーっと内心で叫ぶ蜜子の代わりに声を上げた三兄妹だが、覆水盆に返らずだ。 「うっそお! 蓋沈んだ、探さなきゃ!」
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