辛杉家の憂鬱 蜜子編

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「待てララ、早まるな!」 「かき回してはいけな……って馬鹿ぁっ」  シゲキとシンが止める間もなく、沈んだ蓋を探そうと鍋の中をかき回したララ。あ、これ完璧にハバネロが混ざったやつだ。  悟った蜜子は顔を覆った。だが、キッチンの三人は夢にも思わないだろう。  こうしてなんだかんだありながら、三者三様のカレーが出来上がった。  その夜。 「お母さん、誕生日おめでとう!」  にっこにこの笑顔で小鉢に盛ったカレーを差し出してきたララに、蜜子は色んな意味で泣きそうになりながらありがとうと返すのがやっとだった。  食べ比べということで、三人のカレーがそれぞれ小鉢に盛られているのはある意味良かったかもしれない。ララのを一食分食べ切る自信はさすがにないからだ。
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