Secret Soldiers

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Secret Soldiers

 その夜 オヤジは俺にUSBと7㎝程の小さな懐中電灯を手渡した  オヤジの話の概要 ・資料は このUSBに収められている  ・この資料を作成したのは私が勤務する大学の総長P  ・彼は本国のトップ集団と変わらない地位にいる  ・本国とは Z国  ・Z国のMVは 国王に就任する前 隠密に来日した際 仕事として彼の接待を務めたナミエに一目惚れ ナミエはMVの子を産んだ それが ゆうや  ・ゆうやの存在は 本国において秘密裡にされている ・Z国 最後の切り札として ゆうやは 厳重な管理下で育てられてきた ・ゆうやが通う幼稚園 小学校 中学校 高校 そこに通う生徒 教員 事務職員 用務員に至るまで すべてZ国の血筋を引くもの 又はMVに忠誠を誓った極少数の隠密な戦士 Secret Soldiers  略して SS で固められてきた ・外部からの潜入者及び隠密の裏切り行為があるいはは即刻処分される  ・その重責に心身ともに疲れ果てたナミエが とある小説サイトに韻文で小説を投稿した その韻文を読み解いてしまった私が ナミエの相談に乗ってしまった瞬間から 運命は2択しかなくなった すなわち SSになるか 死か ・だが 俺がSSになるためには3つ条件があった  1.今年のうちに離婚する  2.Pの大学に勤務する  3.息子をSSにする ・小さな懐中電灯 これはショットガンである 実弾3発 充填可能 ただし 直接 ゆうやを守る上で どうしてもやむを得ない局面に追い詰められた時以外の発砲は厳禁 約束を破れば 即刻処分される  俺は オヤジに言った 「ありがとう 父さん あと一つ お願いがあるんだ 俺は覚悟を決めた だから 俺に 帝王学の教科書を探してくれないか 俺は SSとして 一生 ゆうやを守る 同時に ゆうやを立派な国王にしてみせる いや ゆうやを盾に その実 俺がZ国を支配し Z国を世界の要として飛躍させてみせる このことは 父さんと俺の秘密だ 俺は おとなしく 言いなりにはならない」 「ふうぅ~ やれやれ・・・」  オヤジは苦笑いしながら 俺の目を ジーッと見た  それから部屋の隅々を見回し 「この家の中には要所要所 高性能の収音機能付き監視カメラが設置されている ゆうやの身の安全を確保するためだ だが この部屋は俺が設計して俺が施工した この家の情報の中では車庫の奥のタイヤなどを置く収納庫として位置づけられている まだバレていなければだが・・・ ただ おまえが毎日 頻繁にここに出入りする動線を他の監視カメラから察知される可能性は十分にある この部屋の西側の壁はキッチンの備え付け食器棚になっている その真上は ゆうやの部屋  つまりだ 今しか相談できない可能性もあるので よく聞け ゆうやのベッドを廊下側に移動するんだ ベッドと壁の僅かな隙間に下へ降りる穴を作る おまえはベッドに入り 人型に毛布か何かでカモフラージュして 穴からキッチンの食器棚の中をすり抜けて ここへ来る ここには 重要なものだけを置く 学校の道具や着替え 生活に必要なものはすべて ゆうやの部屋に置いておくこと おまえ自身が SSとして有能であると認められたなら そう簡単に処分される心配はない だが おまえが有能であればあるほど 気に入らない奴らもいる すなわち本国では ゆうやの存在に気づき始めた一部の人間が 今 まだ国民の誰にも認知されていないうちに ゆうやを消してしまおうとする可能性がある 詳細はUSBのデータを読め とにかく そのことは頭に置いておけ 以上 私は あまり長くここにいると疑われるので寝室へ戻る おまえも早めに ゆうやの寝室へ戻るんだ 最後にひと言 おまえの人生を勝手に売ってしまった父さんを 許してくれとは言わない 恨んでくれ その恨みを忘れず おまえは Z国の影の支配者になり 世界を変えてくれ 必ず しなやかに生き延びて おまえにしかできない仕事をしてくれ」  俺は明るい笑顔でオヤジに右手を差し出した    オヤジも右手を出し 二人 かたく握手を交わした 「面白いじゃないか 一度きりの人生だ 父さん 二人で力を合わせて 世界を相手に 知恵と勇気で戦い抜こうぜ!」
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