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可愛いウサギのマスコットが3つくらい出てきた。女性に今、大人気のマスコットなんだけど、佐々木さんが持っているものはかなりプレミアムなものだ。
かなり少ない限定のもので朝から並んでも買えなかったと同僚たちが話していたし、街を歩いていてもそのプレミアムのマスコットを鞄からぶら下げている人を見かけたことなんて一度もないから、佐々木さんは相当なガチ勢だったんだろう。それを持っていることが全てを物語っている。
「これ、可愛いですよね?」
佐々木さんが突然私のほうにマスコットを突き出してきた。
「それはもう、可愛いですよ!」
可愛くないなんていう奴がいたら教えてほしい。このしっとりとした肌触りにつぶらな瞳。ファッションデザイナーの人が考案した商品だからかマスコットの服は凝っていてお洒落なのだ。
「ですよね、可愛いですよね?!」
重複して確認する佐々木さん。ただマスコットの話なのに一体どうしたのだろう。佐々木さんは「良かった…」とほっとしたかと思うと、何とも言えない複雑そうな顔をした。
「女に生まれていたら堂々と持ち歩くことができるのになあ」
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