オンラインゲームの友達

17/51
前へ
/51ページ
次へ
「ずっと上手く隠してきた。家族にも、友達にも知られていない。これからも大丈夫なはずなのに、付き合っていた彼女に知られてしまったんです。終わったと思ったと同時にもしかしたら、ずっと長く付き合って想ってくれていたのであれば本当の俺を受け入れてくれるんじゃないかって少し期待もして」 ああ、もう言わなくても分かる。佐々木さんの声がどんどん掠れていく。 辛いっていう気持ちがダイレクトに伝わってくる。 「気持ち悪いって。こんな奴と付き合ってたなんて一生の恥だって。私の時間返せって」 ずっと付き合ってたということは生涯を共に過ごしたいと思える相手だったのかもしれない。その相手から否定されたら?言えなかったのは悪いと思ってもあんまりだって絶望してしまう。 「彼女とはあっさり別れてしまったけれどほっとしました。だからゲームの中に逃げたんです。友達とも家族とも極力会わないようにして本当の自分を出せる安全な場所に。可愛いキャラと俺を知らない人との会話はちょっとだけ寂しさはあるけどすごく楽しかった。特に君と出会ってからゲームの時間が前より大事なものになっていたんです」
/51ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加