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いかにもしっかりとしたところで勤めてます!みたいな、いや実際いいとこ勤めの佐々木さんの姿を見て店員さんは何も疑わず信じた。
「…佐々木さん、今さらっと嘘を」
「嘘も方便っていうやつです。そうしないと、またこのカフェに来たいと思ったとき行けないでしょう?」
目を合わせずに小声でやりとりする。たしかに。出禁になったら最悪だ。佐々木さんの考えに私は同意します。なので力強く首肯すると佐々木さんは少し口角を上げた。
「誤解を招く行動して申し訳ありませんでした。珈琲美味しかったです。また伺いますね」
さらっと店員さんに告げる佐々木に慌てて続けるように、
「ごちそうさまでした!」
元気よく言って足早にレジに向かう。
「ありがとうございます!」
爽やかな店員さんの声を背中に受けながら次はもう少し高い物を頼もうと決めた。
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