神様、お願い

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あと数センチで手が届きそうな、伸びきった指の、中指の付け根のほうが震えだしてきた。 喉から手が出てきそうな位、体が欲するもののため、唾を飲み込むのももどかしく焦れったい。 あと少し、あと少しで、手に入る。 もう少ししたら、間違いなく自分のものになるだろうそれは、じっとこちらの動きを見つめてる。 どうしてこんなに必死になっているのかはわからない。 どうしてこんなに抗えないのかもわからない。 この世に信じるべき神様がいるのならば、この苦痛とも言える、もどかしく艶かしい欲求を、満たし、軽くしてほしい。 その為ならどんな犠牲も厭わないから。 この中指の関節ごとくれてやってもいい。 至福に酔いしれて、痛みなどどうでもよくなるから。
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