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俺はサッカー部に入り、学年一桁をキープした上で、二浪以内で医学部に進もうという目標を持って、高校生活を送った。
高校三年間まで、本気でサッカーを頑張る。
でも大学は医学部に進んで、医師免許を取るところまでは絶対にやる。
運よくプロの選手になれたとしても、引退後は医師として働けるように…なんて甘いことを考えてたんだ。
ガキだったな。
幸い部は全盛期で、俺が入学した年はインハイ二連覇中、選手権はベスト4の常連というタイミング。
俺は、1年の夏からベンチに入れてもらい、冬、夏、冬、夏と全国ベスト4が2回、優勝2回という輝かしい戦績に名を連ねて卒業した。
その頃にはさすがに、プロのサッカー選手になって引退後に医師になるなんていう夢物語は、夢でしかないということを理解していた。
それに、高校時代に何度も日本一を取って…ある程度満足したんだな。
仲間にも恵まれた。
こいつらとこれだけの戦績を残せたから、もういいやって思ったのもあったかもしれない。
この先どこでサッカーをやったって、もう二度と高校時代の仲間と一緒に真剣勝負をすることはないということが、本当に理解できたのは…引退した後だったような気がする。
あ、本当に終わったんだなって…しばらく抜け殻みたいになってたな。
その頃の仲間の何人かとは、今でも付き合いがある。
とはいっても、俺だから。一年に一回連絡を取るかどうか、二年に一回会うかどうか、という感じだ。だから向こうが俺のことを友人と思ってくれているかどうかは…微妙なところかもしれないけれど。
少なくとも…米田だけは、多分友人枠に俺を入れてくれているだろうと思う。
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