ナナちゃんのこと

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今年は、女の子が2人と男の子が1人、マネージャーに入ってきた。 ナナちゃんと、カノンちゃん、ショウ君。 後は選手から5人、講習希望者が来てる。 殿前は、低迷しているとはいっても元強豪私立高校だ。 スポーツ推薦で毎年何十人か入学してくるし、それ以外の一般クラスからも入部者がいる。 だから、普通にやっていて11人のレギュラーに入るということは、そんなに簡単なことじゃないんだ。 そもそもスポーツ推薦の生徒だけで、ベンチメンバーから漏れる人数だ。逆に毎年一人二人、そこに食い込む一般生がいる。 全部員の中で、半分以上の生徒は、一度もベンチに入れずに3年間を終えるということ。 それでも入部してくるのは、本当にサッカーが好きな子たち。 中でも、自分はレギュラーになれる力はないけれど、チームのために働きたいと考えて、マネージャーの仕事に近いところで動いてくれる選手が、毎年何人も出てくる。 誰からも強制されるわけじゃないのに、自然発生的に毎年いるんだ。 いいチームだと思う。 酒井監督の人となりが、チーム全体をいい雰囲気に育てていっている。 ナナちゃんは、弟が昔サッカーをやってたとかで、筋がいい。選手を見る目があるし、広く気を配って全体を管理できるタイプ。カノンちゃんもなかなか、頭のいい子だ。 ショウ君は、スポーツトレーナーとか理学療法士をめざしたいと言ってる。 今からピンポイントで職種を決めてしまうと、自分でもそう思い込んでしまって、結果的に将来の幅を狭めてしまう可能性があるから、一旦なりたい仕事というのは脇に置いて、いろんな情報を集めてみるといいよと、アドバイスしておいた。
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