プロローグ

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学校の先生とか、病院の医者とか、そういう関わり方をしている人の家族構成なんて、普通そんなに気にしないじゃない。 こっちだって、聞かれれば普通に答えることもあるけど、とりあえず聞かれない人に自分から言いふらしはしない。だって、会社とかの職場で同僚や上司が既婚者かどうかって、必要な情報じゃないでしょ? 恋人探しをしているんだったら、まず確認するのはいいと思うけど、俺が向き合ってるのは患者さんと高校生だからね。 職場に、家族の写真をこれ見よがしに飾ったりもしない。 そういう大切なことは、自分の心の一番真ん中にそっと置いておけばいいと思うんだ。 あぁ、でも私物のパソコンにはちゃんとフォルダを作って子どもたちの写真を整理してあるよ。 普段一緒にいられないから、妻が送ってきた写真は全部そこにしまってある。 数少ない休みの日は大体家族のところで過ごしてるけど、時間的に移動しきれなくてこっちで一人で過ごしているときは、大体勉強の合間に写真の整理とかしてるかな。 うん。ちょっと寂しいときも、なくはない。 でも、自分たちで決めたことだからね。 もう少し、お互いの状況が整うまではこの生活スタイルで行く予定。 そもそもこうなることがわかってて、無理を通したのは俺の方だしね。 自分ががんばることで状況が動く可能性があるなら、なんでもやるよ。 でも今は、自分ではどうにもできないところの変化を待っているところだから。時間が経たなければどうにもならないっていうか、ね。 じゃぁ、そうだなぁ。若い友人たちのことから順番に語ってみようかな。 え、そちらからの指名? …いいよ。 じゃぁ、誰のことを聞きたいか言ってくれれば、可能な範囲で話そうか。 あ、知ってると思うけど俺は言葉に不自由なタイプだから、あんまり期待しないで聞いてね。
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