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当時の能天気な俺はと言えば、小学生になって学校のサッカーチームに入れてもらったら、そこのコーチから地域のクラブチームに行けと言われ、父親が見学に連れて行ってくれたそのチームになんとなく入団することになって。
はっきり記憶があるのは、2、3年生頃からだけど、そこからは練習すればするほどうまくなるのがうれしくて、当時は本気でプロ選手になろうと思ってた。
小学校でよくある「将来の夢」っていう作文とかに書くほど純粋ではなかったから、これも同級生なんかには知られてなかったと思う。
ただ、自分の中ではそういう人生設計だったというだけ。
思い上がりも甚だしいというか、周りが見えていない子供の思い込みでしかなかったな。
何人かの親しかった友人には、俺がサッカーをやってることは知られてたけど、放課後一緒に遊ぶこともほとんどなかったし、「人づきあいの悪い変わった奴」くらいに思われてたんじゃないだろうか。
両親も、俺に人生のレールを押し付ける気は全くなくて、好きなようにやらせてもらえたのは、本当に幸せだったな。
忙しかっただろうに時間を調整して、週末は試合会場への送り迎えとかしてくれてたし。
さすがに、試合のたびに応援に来たりってことはなかったけど、俺は別にそういうのはなくても平気な子供だった。
誰かが見ているから頑張るんじゃない。
ある程度の学年になってからは、自分の身体をどう操作したらどう動くのか…みたいな感覚でいろんなことを試していたような気がする。
ロングパスを出すときの、ボールとスパイクの当たる角度とか、考えてたな。
だから、誰が応援してくれていようがいまいが、俺にとってはあまり関係なかった。やってみたことが、考えた通りにうまくいったら嬉しかったし、自分が得点することにはほとんど執着のない、変わった選手だったと思う。
周りの親は子供にべったり張り付いて、技術的なことまで余計な口を出したりしてるのもいたけど。
自分の親があんなのじゃなくてよかったとさえ思ってる、可愛げのないガキだった。
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