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出会い-3
あのヒトモドキの名は「銀狐」というらしい。
あのあと俺が動けないでいると銀狐が俺をおぶって家まで運んでくれた。幸い田舎すぎるここは通行人なんてめったに通らないため他の人に見られることはなかった。
ただ不満だったのはあいつが俺をお姫さま抱っこして運んだということだ。俺だってもう高校2年だ、割と体のことを気にして鍛えてるつもりだった。でも、銀狐にひょいと持ち上げられ少なからずショックだった。
銀狐は俺を家まで運んだあともどこかへ行こうとはしなかった。
「えっと、銀狐?って呼べばいいのかな?俺のじいちゃんのせいで大変な目にあったらしいな、すまん。…これからどうするつもりだ?」
銀狐はこちらを見ようとしない。どこかボーっとして縁側から山の方を見ている。何となくそっとしといた方がいいのかなと思いお茶を取りに行こうと立ち上がった。すると
「出してもらえて助かったわい。なにか礼をしたいのだが望みはあるか?一応神に使えるものだ、それなりのことは叶えてあげられると思うぞ」
そんなこといきなり言われても俺はこの生活に満足してるし特に望みは無い。
「んー特にないかな。そんな事しなくてもいいよ。俺のじいちゃんが悪いんだし。」
にしてもほんと綺麗だなぁ。俺って面食いだったのか、この顔ならずっと見てられる。
「どうした?わしの顔になんか付いておるか?」
グイッと綺麗な顔が近くによってきて思わずドキドキしてしまった。
「はは、顔が真っ赤じゃぞ。面白いやつだ、そんなにわしの顔が好きなのか?」
え、なんでバレたんだ。てか顔赤いのおさまらない…はずかし。
「ふむ…わしはお主のことが気に入ったようじゃ。お主の願いが決まるまで共にいることとしよう。」
こうして俺と銀狐の奇妙な関係が始まった
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