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日常
「かずまー三神堂のまんじゅう食べたいのじゃが。買ってきてはくれんかのぉ?」
「なんでだよ自分で買ってこいよ。人に化けることはできるんだろ?」
結局俺の願い事はなかなか決まらず夏休みも終わってしまった。俺は東京に戻るのでこれで銀狐とはさよならなのかなって思ってたのにこいつは俺の期待を裏切り東京まで着いてきた。まぁこの顔が見れなくなるのは寂しいし良かったちゃよかったのかもな。
銀狐は普段は人から見えないように術をかけているらしい。東京に耳としっぽの生えた美人なんていたら相当な騒ぎになるだろうな。
「人に化けるのには相当な妖力を使うからあまりしたくないんじゃが…」
「俺だって今年受験だし勉強しなきゃなんだよ。まぁでも息抜きの散歩ついでに買ってくるか。銀狐、お前もついてくるか?」
「おお、それはいい。わしもついて行こう。」
もう日は落ちているというのに蒸し暑い。こうも暑いと銀狐に保冷剤をくれ、なんて願いそうになる。
「そろそろお主の願いは決まったか?」
さすがに神の使いたるものにそんなちっぽけな願いをするのは申し訳ないし、俺だって気持ち的にもっと大きな願い事をしたい。それに願いを叶えてもらったらもうこの顔を拝めないと思うと願いを叶えてもらう気も失せてしまう。
「ん〜まだ特にないかな。これっていつまでとか期間ある?」
「いや、特にはない。じゃがお主が死んでしまっては叶えることが出来なくなるのでそれまでには決めて欲しいがな。」
死ぬ間際にでもお願いするか。
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