ぼく、ぬーぬー

7/11
前へ
/11ページ
次へ
 体がフカフカでやわらかいから、じめんにおちても音がしないんだ。  だからとしろうくんもお母さんも、気づかないでいっちゃった!  たすけてー! っていいたいけれど、ぼくはこえが出せないし……。  どうしよう……。  ぼくはつめたいじめんに転がったまま、とおざかっていくとしろうくんたちのせなかを見ていることしかできない。  おいてかないで。  ひとりにしないで。  ぼくのこと、わすれないで。  しばらくすると、しらないだれかにウッカリけっとばされて、しげみの中に転がりこんじゃった。  おちばのカケラが体にくっついて、みのむしみたいになったよ。  そのあとかぜがふいてきて、たくさんのおちばでうまっちゃった。  これじゃあ、としろうくんがさがしてくれても見つけられないかも……。
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!

14人が本棚に入れています
本棚に追加